事務課・地域共生担当/ボランティアコーディネーターインタビュー
新倉 美鈴
事務課・地域共生担当(正社員)ボランティアコーディネーター
——自己紹介をお願いします。
事務課に所属し、地域共生担当として勤務しています。具体的にはボランティアコーディネーターという仕事をしています。
かないばら苑に入職したのは、8年くらい前になります。最初は介護職員のパートとして、週3日・1日4時間の勤務で働いていました。数年後に事務課へ異動し、今年でおよそ4年くらいになりますね。今年の4月からは正社員として勤務しています。
異動のきっかけは、前苑長から「新倉さんは地元の人だし、子ども会や町内会など地域に密着して活動しているから、ボランティアコーディネーターに向いているんじゃないか」と言っていただいたことでした。
確かに、介護をしている中で「楽しみ」の部分を作り上げることにすごく興味はありましたが、入職時はまだ下の子が小さく、話をいただいた頃は子どもたちも少し手が離れていたので、新しいことに挑戦してみよう、と思い、お話を引き受けました。
——仕事内容について教えてください。
かないばら苑のボランティアに関する業務全般を担当しています。主に行うのは、ボランティアの受け入れ窓口の対応です。
コロナ禍になる前は、年間およそのべ4,000人ものボランティアさんが、かないばら苑に来苑してくださっていました。
それだけの人数が来苑してくださるとなると、定期的に来る方もいれば、新規で来る方など、さまざまなボランティアさんがいらっしゃいます。ボランティアさん全員の活動が円滑に進むよう、ボランティアの内容を詳しく説明したり、ボランティアの手順などをお伝えしています。
他にも、ボランティアさんご自身が、活動に対して不安や不満が残らないよう声かけを積極的に行うなどのフォローもしています。
ボランティアさん、ご利用者さま、職員が共に良い時間を過ごせるように調整をするようなイメージですね。
私自身がボランティアに、サポートとして参加することもあります。
あとは、地域共生担当なので、地域の福祉教育などにも携わっています。例えば、地域の学校を訪れ、福祉に関することを子どもたちへ伝える活動をしています。事務課の中に、車椅子を使っている職員がいます。その職員と一緒に同行して、車椅子生活についての講演会を行うなどもしています。
・ボランティアの対応がない時は、電話来客対応や、備品の発注などの事務作業も対応しています。
——かないばら苑のボランティアについて教えてください。
4、5年前に所属していたボランティアコーディネーターの方が、たくさんの人にかないばら苑のボランティアに参加してもらおうと活動を広げていったことで、今に至っています。その方曰く、麻生区の中では一番ボランティアの人数が多いということを聞きました。
実際に私もボランティアコーディネーターの仕事をするようになって、他の施設よりも積極的にボランティアの人が参加してくださいますし、活動自体も盛り上がっているなと感じています。
ボランティアの内容はさまざまです。コロナウイルスが流行したことで、直接ご利用者さまと接触するものは休止せざるを得なくなっていまいました。現在、活動しているのは、リモートでの傾聴や歌の会、車椅子メンテナンス、繕い物、苑内のバラや草花の手入れなどです。
今までやってきたボランティアが十分にできない分、今の状況でもできるようなボランティアの回数を増やしたりしています。
過去にはお祭りなどの大きなイベントも開催していました。イベントなどは学生の方にお手伝いにきていただくこともありましたね。
少しでも早く、前と同じような状況でボランティアが再開できる日を待ち望んでいます。
——かないばら苑に入職したきっかけを教えてください。
当時、まだ子育て中だったので、お昼の短時間でできる仕事を探していました。もともと介護の仕事をしていて、いずれ職場復帰をしたかったのですが、いきなり復職するよりも、少しずつ働き始めて慣れていった方がいいかなと思っていました。
最初はもう少し子育てが落ち着いてから復職しようと思っていたのですが、ブランクが10年以上になってしまうのですよね。さすがに10年もブランクがあったら、働き方が変わりすぎてしまって、再開するのが大変なんじゃないかという不安もありました。
とはいえ、私が希望するような働き方はなかなか見つからず・・・
そんな時に偶然、地区の回覧板で「かないばら通信」を見つけたのです。「かないばら通信」というのは、年4回発行している広報誌で、それを読んでかないばら苑の存在を知りました。家からも近かったので、もしかしたら働けるチャンスがあるかもしれないと思い、自分から苑に相談に行きました。
自分の希望する働き方を伝え、週2〜3で働ける短時間の仕事はないかと相談してみたのです。その後、1日4時間・週3日で働いてみないかとお話をいただきました。
ダメ元で相談したので、受け入れてもらえるんだと嬉しくなりました。
——仕事で大切にしていることや、こだわりを教えてください。
ボランティアさん側にも寄り添えるようなフォローをすることを大切にしています。
ボランティアをする側、してもらう側、という上下関係になってしまうと、やってもらってすみません、ありがとうございますというやりとりになりがちです。
けれど、ボランティアさん自身も楽しみながら積極的に参加してくださることも多いので、またここでボランティアをやりたい、と思ってもらえるようなコミュニケーションを心がけています。
例えば、新しいボランティアさんから「ボランティア希望だけれど、資格や特技がない」と相談を受けた場合、初めにどのようなボランティアをやってもらうかを考えます。
掃除など、個人で作業を進めるボランティアなら誰でもやりやすいですが、ご利用者さまとの交流をする機会があまりないので、少し物足りなさを感じるかもしれません。であれば、まずはご利用者さんと触れ合えるようなボランティアをお願いしようかなと考えたりします。
一方で、苑の雰囲気やボランティア活動に慣れていただくために、自分のペースでできるボランティアの方が適している人もいると思います。
どのような形でも、なるべくご利用者さまと関わる時間が、有意義な時間になれるようなサポートをすることは心がけています。
ボランティア後のフォローなどもしています。コロナ前はボランティア後にお茶をお出しして、活動に対して感じたことをその場で聞いて、不安や不満があればそれを解消していくようなやりとりをしていました。
せっかく来てくださるのですから、施設のご利用者さまだけでなく、ボランティアさん自身も楽しい時間を過ごしていただきたいです。
また、かないばら苑のボランティアをこれからも続けていくための工夫もしてます。
やはり、ボランティアは続けてもらうことにも意味があると感じています。
ボランティアコーディネーターという仕事を配置している介護施設って少ないと思うのです。かないばら苑があえて配置しているのは、苑としてあらゆる方針があるのだと思いますが、そのひとつに、地域活性化があります。
地元で暮らす人々に、かないばら苑のことを知ってもらい、何かあれば気軽にかないばら苑を頼ってほしい、そういった想いから、苑全体でボランティア活動に積極的に取り組んでいます。
もうひとつは、苑を開かれた存在にすること。前苑長から、ボランティアさんという外の風が入ることで、苑を開かれた存在にすることができる、と聞いたことがありました。第三者が出入りすることで、虐待防止につながることもあります。施設を客観的に見てもらえる環境づくりは、私たちにとっても、とても大切なのです。
これらボランティアへの想いを実現するには、活動そのものを続けていくことがなによりも重要です。コロナ禍だとしても、ボランティアさんへのフォローでできることは、いろいろやっていこうと思っています。
——かないばら苑はどのような場所ですか?
職員のみなさんはよく笑っていて、苑全体に楽しい雰囲気があります。
かないばら苑だけではないと思いますが、介護の仕事で他の業種と違う、一番いいと思う部分が、職員みんながよく笑いながら仕事をしているところだと思います。
冗談を言い合って、お年寄りとゲラゲラわらったり、時には職員同士で雑談をして笑ったり・・・
こんなに笑いながら仕事することって、他の仕事ではないのではないかと感じています。介護の仕事の面白さでもありますよね。
自分の職種は、はっきりとお金を生み出さない仕事ですが、ご利用者さまの生活の質(QOL)を上げる、楽しみを増やすことができる仕事です。
ボランティアさんにとってもいい時間を過ごせたり、ボランティアさんとご利用者さまや職員、ボランティアさん同士など、交流が盛んなことがかないばら苑のすごくいいところですね。
そして、私がそこに関われているのは、本当に幸せなことだと思います。
——どのような人と一緒に働きたいですか?
私が見ている限り、かないばら苑ではどんな人でも受け入れられるような雰囲気があるのではないかと感じています。
100%適材適所で働くことは難しいと思いますが、職員のタイプに合った部署や働き方をマッチングさせてくれているように感じます。
苑にはいろいろな人がいます。礼儀正しくて、いつも笑顔で優しくてと、言い出したらキリがないですが、自分の良いところをいかしながら、みなさん熱心に働いていらっしゃいます。
人間なので完璧な人というのはいなくて、何かしら良いところと苦手なところがあって、そのバランスの中でうまく仕事をされているように見えます。
自分の仕事に意欲があったり、挑戦してみよう、と思いながら働ける人にとってはぴったりの場所なのかなと思います。
——今後の目標を教えてください。
まずは、コロナの収束に合わせて、ボランティアもコロナ前の状態に戻していきたいと思っています。
コロナ禍にできる活動も始めているので、どちらも両立できるよう工夫していきたいです。
先日は、「地域の方と折り紙の虹でつながろうプロジェクト」というイベントを実施しました。かないばら苑で発行している広報誌にこの企画についてお知らせしました。苑内外の皆さんに、折り紙をハート型に折って苑まで届けていただくことで、地域と苑をつなげる虹を作ろうというプロジェクトです。
これからもあらゆる形でたくさんの地域の人と関わり、輪をつなげていきたいです。
ボランティアの人数を復活させるということも目標ですが、それだけでなく、ご利用者さま全員にボランティアによるレクリエーション活動に参加していただけるような取り組みもしていきたいです。団体だけでなくパーソナルなレクリエーション活動を増やしていきたいです。
——最後に、応募者へメッセージをお願いします。
やってみようかな、という気持ちがあったら、ぜひ挑戦してほしいです!
私自身も、フルタイム勤務を募集している中で、ダメ元で働かせてもらえないか相談したことがきっかけで今もかないばら苑で働き続けています。
まずは一歩踏み出すことから始めていけたら素敵ですよね。
介護は体力勝負な部分もあるので、誰でもぜひというのは難しいかもしれませんが、介護は楽しい仕事だなと思いますし、こんなに「ありがとう」や「よかった」と言ってもらえる仕事って他にないと思います。もう年齢的にかわいいと言われたり、褒められたりすることなんてないですから(笑)
毎日そういった温かい言葉をかけていただけるのは、素直に嬉しいなと感じます。
高齢者の方はみなさん人生経験が豊富で、懐がとても深い方ばかりです。一緒に過ごしていて、喜びや学びをたくさん与えてくださるので、仕事で毎日接することができるのは、ありがたいです。
大変な部分ももちろんあるけれど、そうじゃないところもあるから、介護って面白い仕事だと感じますし、今も続けられているのだと思います。